研究内容について


スパッタ装置

私が薄膜を作るために使っているスパッタリング装置です。
JEOL(日本電子)製 JEC-SP360R、通称:ター坊


私の所属する、埼玉大学 工学部 機能材料工学科 機能量子工学講座 機能量子デバイス部門では、主に電子デバイス関連の研究を行っています。具体的には、私たちの周りにある電気製品の中に使用されている磁性体、誘電体および半導体材料をベースとした部品の研究・開発です。その中で私の行っている研究は主として磁性体を用いたものです。

”磁性体”というと普通は”磁石”を思い浮かべると思いますが、私のやっていることは、私たちの目に見えないような小さな小さな磁石をたくさん並べることで、そこに情報を記録しようというものです。このホームページをご覧になっている多くの皆さんは、コンピューターを使って見ていると思いますが、その中に入っているハードディスクドライブのさらに中に入っている情報を記録しておくための円板(これを媒体orメディアと言います)に使われる磁性材料の研究を行っています。

Hard Disk Drive

ちょと古いハードディスクですが、中が見えるように穴を開けてみました。
中に茶色の円板が見えると思いますが、これがデータを記録しておくための媒体です。
媒体の上に棒のようなものが見えますが、この先端に、媒体上のデータを読み出すための "ヘッド"と呼ばれるものがついており、これも磁性体でできています。 (画像をクリックすると拡大図が見れます。)

現在、市販されているハードディスクの中で最も高密度な記録ができるものは、1平方インチあたりに5〜8Gbit(ギカビット、1Gbit=1012bit)のデータが記憶できることになっています。しかし、これから先、ソフトウェアおよびデータファイルの巨大化、加えて私たちが取り扱う情報量の圧倒的な増加を考えると、これで十分ということはありません。そこで、ハードディスクの分野では、2000年には20Gbit/inch2、それ以降は、100Gbit/inch2の記録密度が達成できるよう、研究・開発を進めていこうとしています。

マグネトプランバイト

さて、そこで私が取り扱っている材料ですが、バリウムフェライト(BaFe12O19)と呼ばれる酸化物磁性材料です。バリウムフェライトは、古くから磁石として用いられており、このことからも微小な磁石を並べて情報を記録する記録媒体として適していると考えられます。また、原材料も地球上に豊富にあり、コストがかからないというメリットもあります。しかし、バリウムフェライトは、左の図に示すような非常に複雑な結晶構造をしています。そのために、作製する際に大きなエネルギーが必要となります。わかりやすくいうと、作るときに非常に高い温度で加熱する(大きな熱エネルギーを与える)必要があり、これがネックになっています。

私の研究は、大雑把に言えば、この点を何とか工夫することで、優れた特性を有するバリウムフェライトの記録媒体を作るといったことです。ハードディスク用の記録媒体を作るに当たって、薄膜(厚さ<100nm=1000000分の1mm)にする必要性があります。そこで、スパッタリングという、真空中でバリウムフェライトを構成する原子を叩き出し、基板上に付着させることで薄膜を作る方法を採用しています。(現在、ハードディスク用の媒体はほとんどこの方法で作られます)

下の写真は、バリウムフェライトの薄膜を作っているところと、できたバリウムフェライト薄膜です。

Suputtering Barium Ferrite Films


このページの作者が主に参加している学会

日本応用磁気学会 日本応用磁気学会
磁気の基礎的理論から磁気工学の最先端に至るまで幅広い分野を扱う先進的な学会です。


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